葛西説教20230625②

1.テキスト「ヨシュア1:1-9」

2.タイトル「すでに勝ったのです」

3.中心聖句「ヨハネ16:33」

「あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすでに世に勝ったのです」

4.本文「すでに勝ったのです」

　序）「旧約聖書は難しい」

　旧約聖書は難しいですね。日本語に訳されてはいますが、原本はユダヤの古い言語で書かれ、かつ当時の文化、神学表現で書かれているからです。そのことを神学者は、第一に新約聖書ギリシャ語本文ほど復元確定されていない。第二に新約とは違った性格を持っている。第三は、旧約が持つ神学的複雑さ。第四に、書簡の分量の多さという物理的なことです。

また、本日のテキスト「ヨシュア記」も、成功の書、神がカナンの地を約束された通りに与えられたという「預言と成就」の神学の書と呼ばれていますが、ヨシュアの実際の占領地はカナン全土に散在状態でした。イスラエル全土の統一は、次の士師記、そのまた次のサムエル記のサウル登場に至るまでの長い期間にわたっています。では、「ヨシュアは、その地をことごとく取った」(ヨシュア11:23)という聖書の記録は間違っているのでしょうか。神学者はこう教えます。信仰の戦いでは、例え占領し残した土地があったとしても、それは神の約束のうちにすでに勝利として与えられていると。

本論）「すでに勝ったのです」

Ⅰ.「ストーリ」

　ヨシュア記の神学は、神がカナンの地を約束された通りに与えられたという「預言と成就」の神学に尽きます。すなわち、神の約束を信じる。これに尽きるのです。

　神は、ヨシュアに「強くあれ。雄々しくあれ。わたしが彼らに与えるとその先祖たちに誓った地を、あなたは、この民に継がせなければならない」（6節）と命じられました。ヨシュアの役目は、約束の地の獲得です。しかし、そこには強い先住民族がいて、彼らと戦わなければなりません。ですから神は、以前からヨシュアを戦いに用いておられました。例えば、紅海を渡った後のことです。イスラエルの民は、アマレク人と戦わなければなりませんでした。この時、民を率いて戦ったのが、ヨシュアです。この戦いでは、モーセの祈りの手が挙げられている時、イスラエルが勝ち、疲れて祈りの手が下がった時、アマレクが勝ちました。この出来事によって、ヨシュアは、人の目には勝てるはずのない敵でも、神は約束したことを必ず成し遂げて下さることを知ったのです。

　次に「預言」の神学です。すなわち、聖書を信じることです。神はまた、「ただ強く、雄々しくあって、わたしのしもべモーセがあなたに命じたすべての律法を守り行え。これを離れて右にも左にもそれてはならない。それは、あなたが行く所ではどこででも、あなたが栄えるためである。」（７節）と命じられました。ヨシュアは、荒野での40年間、まさにモーセの従者として過ごし、神のことばを学びました。シナイ山で十戒が与えられた時、ヨシュアはモーセと共に山に登っていました。また、モーセが会見の幕屋にいる間、いつもヨシュアは幕屋のそば近くにいて、神のことばを聞いて、みことばに従うところに勝利があることを知っていたのです。

　最後は神の臨在を信じることです。神は、「強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。あなたの神、主が、あなたの行く所どこにでも、あなたとともにあるからである。」（9節）と命じられました。神はかつて、偵察隊の一人としてヨシュアはカレブと共に不信仰な民と異なる心を持ち、「神が共におられるゆえに約束の地を獲得できる」と訴えたのです。ヨシュアは、神が共におられるなら敵を恐れる必要がないことを固く信じ、挑戦していく人でした。

Ⅱ.「学ぶべき真理」

　それらの「神の約束への信仰」、「聖書への信仰」、「臨在信仰」の備えがあって、さらにヨシュアは、「神の霊の宿っている」人だったからこそ、新しい指導者に任ぜられたのです。指導者として重要なことは、人間の才能ではなく、神の約束を信じ、神のみことばに信頼し従い、いつも神と共にいて、神に導かれていることなのです。

Ⅲ.「あなたはどうしますか」

　ですから、あなたにとって信仰はとても大切です。今後も怖くなること、困ること、泣きたいこと、苦しいこと、人を恨むこと、色々あるかもしれません。しかし、私たちを助けてくださるイエスがおられるのです。ヨシュアにそうであったように、私たちのことも、みことばによって励まし、勇気をくださいます。昨日が嵐でも、今日も晴れ間がなくても、明日を信じて生きてみましょう。イエスは、「わたしはすでに世に勝ったのです」と断言しておられます。そして、それは真実であり、あらゆる見せかけの困難を打ち破っている神のことばなのですから、あなたも信じましょう。

まとめ）「すでに勝ったのです」 

　新しく立てられたヨシュアへの任務は、恐れず臆せず、約束の地を勝ち取ることでした。勝利の保証は神の約束のことばと、神が共にいてくださることです。神が私たちに約束されるときには、必ず神が共にいて、戦ってくださいます。ですから私たちは、恐れず勇敢に進めるのです。みんなと同じではなく、ひとりぼっちだと思うときでも、神は私たちと共にいてくださり、必要な勇気と力をくださいます。雄々しく、強く、神を信じて挑戦しましょう。すでに勝ったのですから。